ステンレス鋼線 一般用

一般加工用ステンレス鋼線の性質と用途

オーステナイト系ステンレス鋼

フェライト系ステンレス鋼

マルテンサイト系ステンレス鋼

析出硬化系ステンレス鋼

二相系ステンレス鋼

NAS表示は日本精線規格に成ります。

オーステナイト系ステンレス鋼

SUS 304(18Cr-8Ni鋼)
　18-8ステンレスの代表的鋼種、耐食性、耐熱性、機械的性質は、クロム系ステンレス鋼に比べ優れています。
　固溶化熱処理状態で非磁性でありますが冷間加工で硬化し、わずかに磁性を帯びます。

SUS 302(18Cr-8Ni－0.1C鋼)
　冷間加工により304以上の高強度を得られる。

NAS-301(17Cr-7Ni)
　Ni系では最も引張強さが高く、ピアノ線に匹敵する強度・ばね荷重が得られる。
　防錆処理不要でピアノ線より環境にやさしい材料。

SUS 303(18Cr-8Ni-高S鋼)
　18Cr-8Ni鋼の被削性と耐焼付性を向上した鋼種(Sを0.15%～0.35%添加)で、自動盤用に最適であります。
　(SUS-303Se Seを約0.2%添加し被削性を向上)

SUS 303Cu(18Cr-8Ni-3Cu-高S鋼)
　硫黄と銅を含む18Cr-8Ni鋼で、オーステナイト系ステンレス鋼では最高の被削性を有し、冷間加工後も非磁性を保ちます。

SUS XM7(18Cr-9Ni-3.5Cu鋼)
　18Cr-8Ni鋼に銅を添加し、炭素を低減して冷間加工硬化性を低く抑えた鋼種で冷間圧造用として広く使用されています。冷間加工後も非磁性を保ちます。

SUS 305J1(18Cr-13Ni-低C鋼)
　18Cr-8Ni鋼に比べ、冷間加工硬化性を低減し冷間圧造用鋼種です。

SUS 304L(18Cr-9Ni-極低C鋼)
　炭素を極度に抑えた18Cr-8Ni鋼で、耐粒界腐食性に優れています。

SUS 316(18Cr-12Ni-2.5Mo鋼)
　304のNiを増量・Mo添加し耐食性と非磁性を高める。加工硬化性は304より低い。

SUS 316L(18Cr-12Ni-2.5Mo-極低C鋼)
　炭素を極度に抑えたモリブデン添加の18Cr-12Ni鋼で耐食性、耐酸性と耐粒界腐食性の目的に使われます。

SUS 310S(25Cr-20Ni鋼)
　高温酸化に耐え、耐熱性が優れています。また、耐食性も良好です。

SUS 347(18Cr-9Ni-Nb鋼)
　ニオブを含む18Cr-8Ni鋼で耐粒界腐食性に優れています。

オーステナイト：フェライト系ステンレス鋼

SUS 294L(25Cr-7Ni-3Mo-N-低C鋼)
　二相組織で、耐酸性、耐孔食性に優れ、かつ高強度を有する鋼種です。耐海水用に適します。

SUS 430(18Cr鋼)
　13Cr鋼より耐食性と耐熱性が優れ、ニッケルを含オーステナイト系より廉価で、焼入れで硬化せず、冷間加工でも硬化の度合いが小さい鋼種です。

SUS 430F(18Cr高S鋼)
　ステンレス鋼中、最も被削性の高い鋼種で、自動盤による切削加工に適しています。
　また、18Cr鋼並みの耐食性があります。

マルテンサイト系ステンレス鋼

 SUS 410(13Cr-0.1C鋼)
　ステンレス鋼中で廉価であり、耐食性が他の系統のステンレス鋼に比べて劣ります。
　焼入れによって硬化しますが炭素量に比例して焼入れ硬さを増します。

SUS 420J2(13Cr-0.3C鋼)
　410,420J1より焼入れ後の硬さが高い鋼種です。

SUS 440C(18Cr-1C鋼)
　すべてのステンレス鋼中、最高の焼入れ硬さが得られます。

析出硬化系ステンレス鋼

SUS 631J1(17Cr-8Ni-1AL鋼)
　アルミニウムの添加で、冷間加工後、熱処理により析出硬化できる高力ステンレス鋼で、常温で、かなりの磁性を示します。

軟質線 

軟質1号(-W1)  伸線後、固溶化熱処理を行う。
軟質2号(-W2) オ－ステナイト系は固溶化熱処理後、フェライト系及びマルテンサイト系は焼きなまし後、更に軽度の伸線を行う。(1/8H, 1/4H)
1/2H硬質(-W1/2H) 固溶化熱処理後、比較的強度の伸線を行う。